2007年9月24日 (月)

公共交通とモーダルシフトに新たな財源を

先日、長距離トラックのドライバー氏と、話をする機会があった。今回話をしたドライバー氏は、現在はフェリーで関西~九州を往復する仕事だが、以前は関東~九州を高速道路経由で往復していたとのこと。フェリーでの往復は休憩を十分取れて楽だが、高速道路をずっと走っていると、居眠りや幻覚で事故を起こしかけたこともあるという話だった。
#ヒヤリハットで済んで、事故にならずに本当によかったです。
フェリーによるモーダルシフトは、事故の低減に寄与していることは間違いないであろう。

ところで、事故の低減といえば交通安全の話に直結する。それを財源の視点から考えるみると、「交通安全対策特別交付金」という制度に行き当たった。
この制度は、交通事故の発生を防止することを目的としたもので、交通反則通告制度に基づき納付される反則金収入(たとえば、スピード違反の反則金など)を原資とし、地方自治体が単独で行う道路交通安全施設整備の財源にあてられる。ただし、用途の限定が厳しく、「交通安全対策特別交付金等に関する政令で定める道路交通安全施設の設置及び管理に関する費用」に限られている。たとえば、信号機、道路標識、横断歩道橋、ガードフェンス・防護柵、カーブミラーがそれに該当する。

この用途を、公共交通の活性化やモーダルシフトの拡大のための財源に充当できるように、拡大できないだろうか?

公共交通やモーダルシフトは、交通事故の低減、つまりは交通事故の発生の防止に寄与していることは間違いない。そうであれば、「交通安全対策特別交付金」をこうした用途に充当することは、制度の趣旨に合致していると思われる。道路交通の安全性を高めるために道路の施設を充実させることも欠かせないが、道路交通そのものを削減したり、使い方を改めることによって、道路交通の安全性を高めるという視点があってもいいのではないだろうか。

もちろん、現行の法体系や「縦割り」の行政制度のもとでは、省庁間を越えた特別勘定の交付金使用となってしまい、実現はきわめて困難であることは、私も認識している。しかし、交通事故の発生防止という目的意識からは、政策の実現という「横割り」の発想が重要になる。
関係者の英断に期待したい。

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2007年9月23日 (日)

整備新幹線着工ルールの早急な見直しを

整備新幹線は、現在、北海道新幹線、東北新幹線、北陸新幹線、九州新幹線鹿児島ルート、九州新幹線長崎ルート(西九州ルート)の各新幹線の整備が進められている。これらの整備にあたっては、収支採算性の見通し、受益の範囲を限度としたJRの貸付料などの負担、用地確保の見通し、並行在来線の経営分離についての地元自治体やJRの合意など、基本条件が整えられていることが、政府与党間の申し合わせで前提として取り決められている。

この申し合わせを見直す動きが、政府与党内で強まっているようだ。これまでの各種マスコミ報道によれば、与党整備新幹線建設促進プロジェクトチームの津島雄二座長や、自民党整備新幹線等鉄道調査会の久間章生会長の発言として、着工条件の見直しや緩和が検討課題に挙がっているに窺える。

こうした動きに対して、マスコミでは、九州新幹線長崎ルート(西九州ルート)の整備において、鹿島市と佐賀県江北町の反対のために整備が進められない状況が続いているために、打開策として考え出されたように受け止める見方が目立つ。また、鹿島市長はこうした動きに、「地方自治の無視」「地域格差是正に逆行」という反発をしている。
しかし、マスコミの見方や鹿島市長の反発は、ごく表面的な事象をとらえたものにすぎず、整備新幹線がこれから直面する課題を踏まえた、本質的な理解とはいえない。

整備新幹線は、現在の整備区間の整備が完了すれば、新しい課題に直面する。
北海道新幹線の札幌延伸による、第一国土軸における新幹線の構築完了、北陸新幹線と東海道・山陽新幹線接続をはじめとした新幹線のネットワーク化、首都圏などにおける部分新線建設も含めた新幹線ターミナルの増強などがそうである。高速幹線鉄道網の存在感が高まる中、こうした政策課題に対応できる体制を整えることが、実は喫緊の課題である。

新しい課題に対応する上では、着工ルールの見直しは欠かせない。現在の整備新幹線の着工ルールスキームでは、沿線自治体の受益が小さければ、着工は困難になってしまう問題点を内在している。このままでは、新幹線のネットワーク化や部分新線建設によるターミナル増強は難しい。

たとえば、北陸新幹線と東海道・山陽新幹線の接続によるネットワーク化では、滋賀県内に北陸新幹線を整備し、米原付近で名古屋方面・新大阪方面双方への相互直通可能化と、あわせて東海道新幹線の輸送力増強を整備新幹線スキームで実現することが考えられる。このとき、現在の整備新幹線スキームをストレートに適用すれば、滋賀県や沿線自治体の反対が予想され、円滑な整備は到底期待できない。首都圏の新幹線の新ターミナル整備構想においても、整備新幹線スキームでは、同様の問題点が予想される。

こうした問題点を想定すると、整備新幹線の着工ルールを見直すことは早急に求められているのではなかろうか。とくに、現在の「厳しすぎる」沿線自治体の合意ルールは、より緩やかに緩和されるべきであろう。
もちろん、合意ルールが緩和されることで、地域の公共交通機関が損なわれることがあってはならない。財源はより潤沢であるべきだし、地域の公共交通機関を供給する責任を、誰が最終的に担うべきか、より本質的な議論が求められている。電気事業でみられる「ラスト・リゾート」の議論が、適用されていいかもしれない。

この問題については、また項を改めて検討したい。

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2007年9月22日 (土)

NPOの定義とは…

日々交通系のNPOで副理事長の仕事をしていると、ひとつ大きな疑問を感じることがある。

それはNPOの定義。
NPOとは"Non Profit Organization"(民間の非営利組織)を指す語である。ただ、何をもってして民間の非営利組織を定義するかは議論がある…
#私も拙稿でサーベイしたことがあります。
しかし、現実のNPOでは"Non Professional Organization"(プロフェッショナルではない組織)という認識が時折目立つ。そして、このような認識をもつメンバーが、NPOの事業に関わるとき、好ましくない影響を少なからずもたらす状況は無視できない。

この話は、NPOの問題点や限界として議論されることが多いが、交通系のNPOにおいては、問題はそれだけに留まらない。

交通系のNPOでは、メンバーが問題意識をもつようになるきっかけが、趣味的な要素を出発点にしていることが多い。それ自体は問題ないのだが、NPOの事業を展開する中で、手段と目的を取り違えてしまい、本来の趣旨を見失ってしまっていることに懸念を感じている。

たとえば、「まちづくりとLRT」というタイトルで啓発事業をすすめていくとき、本来であればまちづくりの中でLRTをどう活用するか(あるいは代替策はあるのか)といった話になるはずなのに、いつのまにかLRT整備の話に矮小化されてしまっていることがある。
また、サービスレベル評価の話だと、趣味的な利用者層にのみ特化した評価になってしまい、本来の主要な利用者層への配慮を欠くことも少なくない。

これはある意味、過去の交通系のNPOが抱えてきた「負の遺産」であるが、それだけではなく、NPOがその専門性を生かして、社会で活躍していくためにはどうしても越えなければならない課題であるといえる。

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2007年9月17日 (月)

北陸連携並行在来線等活用市民会議の設立総会

富山市で開催された、タイトルの会議に参加してきました。実のところは、オブザーバー的な感じですが… 会議の後の懇親会を中座し、サンダーバード〜500系のぞみと乗り継いで、博多へと帰る途中です。

福井大学の川上先生の基調講演では、新幹線と並行在来線を生かした地域づくり・まちづくりについて、興味深い話を聞くことができました。新幹線を地域づくりに活用するためには、並行在来線や地域の公共交通機関を再生する必要があるという議論は、今後拡張が期待される整備新幹線プロジェクトを推進していく中で、重要なテーマになるものと思われます。

会議で示された今後の方向性からは、新幹線を生かしたまちづくり・地域づくりの姿が、具体的に明らかになるものと期待しています。また、新幹線を生かした地域づくりモデルの議論からは、整備新幹線やそれに伴う並行在来線問題を、地域づくりの起爆剤として、積極的に評価する姿勢が明確で、今後の議論に期待が持てました。

今回の会議は、整備新幹線がもたらす未来について考えることができる、いい機会になりました。今後、市民と利用者の視点から、新幹線とそれを活用した地域づくりが、積極的に展開されることを期待しています。

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2007年9月16日 (日)

高山線全線復旧を祝う

現在高山線の特急「ひだ」に乗車中です。車内から、ブログに書き込んでいます。

去る9月8日、3年ものの間、台風による災害で不通だった高山線が、全線復旧を果たしました。今回の復旧をお祝い申し上げますとともに、関係者の皆さまのご尽力に感謝申し上げます。

実際に復旧区間に乗ってみましたが、災害の爪跡はいまだ大きく、難工事だったことを窺わせます。そして、復旧の喜びとともに、災害によって消えていった(いきつつある)鉄道のことを思うと、胸がしめつけられるような思いも感じました。

高山線は、富山県側で、公共交通再生への取り組みと連携した活性化施策が行われています。猪谷で接続していた(現在は廃止されている)神岡鉄道も、再生への動きがあるとも聞きます。
今回の復旧によって、これまで不便を強いられてきた沿線住民の方々にとっては、日常を取り戻す機会になったことと思います。また、岐阜県飛騨地方と富山県の地域間交流を深める、絶好のチャンスになっています。

今回の復旧が、地域活性化と鉄道の再生に寄与することを、願ってやみません。

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2007年9月14日 (金)

LRTが公共交通を破壊する?

このような懸念を抱かざるをえない状況が、宇都宮で生じている。

宇都宮市では、市と栃木県がLRTの整備に積極的な姿勢を示しているが、これに対し、栃木県最大手のバス事業者である関東自動車が、異を唱えている。関東自動車はLRTに反対の姿勢をとっているが、新聞報道によれば、LRTの運営事業者・出資者にはならず、県と市が設置予定の「LRT導入検討会議」にも参加しないことを公式に表明したという。

このような状況で、このままLRTを推進したらどうなるのか?

現在のようにバス事業が規制緩和されているもとでは、LRTとバスとの競争が生じることは必至である。このとき、LRTが敗北を迎えるかもしれない。このとき、LRT整備に投下した資金を、いかにして回収するかが課題となる。もし、公的資金でLRTを整備するとなれば、その損失を税金でカバーしなければならない。「無駄な公共事業」を作る結果になる懸念から逃れることはできない。

一方で、LRTが勝利する事態でも、別の問題を引き起こす。宇都宮では、このシナリオが現実味を帯びている。現実のバス事業者の経営では、収益路線の利益で郊外や郡部の路線の赤字路線の損失を補填し、バス路線ネットワークを維持している。LRTの整備によって、バス事業者は主要路線な収益路線を失ってしまえば、赤字路線の維持は困難になる。
事業者内部の赤字路線の維持メカニズムが崩壊してしまえば、公的部門の補助に期待せざるをえない。しかし、その補助は未だ限定的である。このような状況では、不採算ではあるが社会的に必要な路線が縮小される結果をもたらしかねない。それは、究極的には公共交通の破壊につながることになろう。

近年、LRTの整備に対する期待感が高まっている。しかし、LRTを活用するためには、そのための条件整備が欠かせない。宇都宮の場合は、残念ながらその条件整備が整っていないというべきであろう。LRT整備を推進するのであれば、地域全体の公共交通ネットワーク全体が、持続可能なスキームを構築することが先決である。宇都宮市・栃木県には、このような認識をもってほしい。

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2007年9月 8日 (土)

ちぐはぐなバス政策

一方でバスレーンを縮小し、他方でバス利用の促進を訴える。そんなちぐはぐなバス政策を展開している県がある。

それは、大分県。大分市や別府市では、「バス専用レーン」と「バス優先レーン」を15区間約22.3km設置しているが、この規制を土曜日に限って解除するものである。10月27日から実施されるが、バスレーン規制の見直しは1974年(昭和49年)以来、33年ぶりである。

大分のバスレーンは、1972年(昭和47年)の別大電車の廃止と、それに伴うバスの増発を受けて設置されたものである。路面電車なき後、バスが基幹的な交通機関として機能していくことを目指した施策であったといえよう。またバスレーンは、BRTのように高い品質のバスサービスを実現するためには、不可欠ともいえる重要な要素である。
これを縮小するとは、大分県はバスサービスの高品質化をもう目指さないというのであろうか?

どうもそうではない。他方では、大分県や大分市は、「バスに乗って地球を救おう」と銘打ち、バス利用を促進すべく各種の施策を展開している。
大分県・大分市・大分県バス協会などは、2006年度(平成18年度)からNEDOの助成を受けて「モビリティ・マネジメント」に取り組んでおり、その一環として、バスマップの作成や系統番号の標準化が行われた。これらの諸施策では、バスの持つ環境・安全・健康面の優位性を訴えつつ、過度の自家用車に依存した交通体系を見直していこうとする方向性が見られる。

そうであれば、なお更に、バスレーン縮小に対して疑問を強くせざるをえない。バスレーンも、モビリティ・マネジメントと同じ政策的方向性のもと、バス利用促進へのインセンティブを与えるプログラムとなりうる。バスレーンによって、バスの定時性・速達性を向上し、より魅力的なバスサービスの提供が可能になる。また、自家用車の通行帯が縮小されるため、自家用車の使用にコストアップ要因を与える。適切に活用されれば、バス利用促進への、「ダブル効果」が期待できる。
せっかくのこうしたツールを活用しないとは、もったいない話であるし、政策がちぐはくと批判せざるをえない。

今回の大分県のバスレーン縮小は、県民の土曜日のバスレーン規制を不要視する意見が反映されたものである。
もちろん、県政に県民の意見が尊重されるべきことはいうまでもない。しかし、大分県では、夕方時間帯のバスレーン規制を不要視する意見も多く、このままでは、なし崩し的にバスレーンが大幅に縮小される懸念は否めない。そして、バス利用促進を通じて目指すべき方向性が実現されなくなってしまうことを恐れる。

バス利用を促進するのであれば、そのためには何をすべきか? 首尾一貫した施策が求められよう。

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2007年9月 7日 (金)

いまが正念場 高千穂線

高千穂鉄道の延岡~槇峰間が、9月6日廃止された。また、槇峰~高千穂間の休止は、12月26日まで延長された。神話高千穂トロッコ鉄道による高千穂線再生の動きを受けたものであるが、その神話高千穂トロッコ鉄道では資金調達が進んでいない。支援金を広く募っているが、目標の6分の1にとどまっているという。
8月3日付のブログで取り上げた黒川紀章氏による大口支援表明も、その後の動きは聞かない。もしかしたら黒川氏による、政治的「アドバルーン」にすぎなかったのでは? そのような疑念すら感じざるをえない。
また、神話高千穂トロッコ鉄道の経営陣を個人攻撃するような「怪文書」も、高千穂で出回っているという。(私下村も、信頼できる情報ルート経由でその文書を確認しています。)

資金調達の難しさは関係者も承知の上のことであろうが、問題なのは、鉄道再生への世論が一枚岩ではないことである。「怪文書」の話からは、鉄道再生への熱意が弱まりつつあるような、そんな懸念を抱かざるをえない。

このような状況では、鉄道再生に向けての動きを、再度ヒートアップさせていくことはきわめて難しい。2年前の秋から冬にかけての、あの熱さをよみがえらせることがいま求められているが、それには強力なエネルギーが必要である。
そのエネルギーを生み出すには? ここでは、事業者と行政のあり方について、若干のコメントを加えたい。
神話高千穂トロッコ鉄道には、今の動きを正しく伝える努力が欠かせない。「怪文書」が出回る状況では、人々とのコミュニケーション不足があるのではとも思えてならない。その点を改めることが急務である。
また行政は、高千穂線の再生を積極的に支援する姿勢が求められよう。どうも宮崎県政は、鉄道再生の「類例なき取り組み」を、正当に評価しているとは言いがたい。政治的背景があるのかもしれないが、このままでは、鉄道への冷淡な姿勢を示しただけに終わるであろう。東国原知事も、鉄道に対しては関心が乏しいのだろうか。

ともかく、高千穂線の再生は、いまが正念場。鉄道の再生に向けて、あきらめることなく、熱い想いで、そしてスピード感をもって進めていくことを期待したい。

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2007年9月 3日 (月)

韓国に行ってきました

9月1日~2日で、友人と韓国に行ってきました。

えっ、何しに行ってきたかですって?
実はKTXに乗って、釜山~ソウルを往復した程度の内容。でもソウルでは、新しく開業した空港鉄道に乗ってくることができましたし、変化著しい韓国鉄道の一端を垣間見ることができました。
残念なのは、せっかくソウルに行ったのに、ソウルのBRTに乗ってくることができなかったこと。このブログのアクセスログを見ていると、BRTの情報へのニーズが高いようなのですが、それに応えることができず、申し訳ありません。
BRTについては、今後手持ちのネタを出していきますので、それで当分の間勘弁してください。

旅行中の道中記については、折を見て公開していきます。

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2007年8月31日 (金)

お客さまを批判する航空会社

鳥取空港で、滑走路に向かっている航空機内で乗客の女性が体調不良を訴え、ターミナルに引き返すという運航事例があった。
※詳しくは、下記の記事などを参照してください。
http://www.sankei.co.jp/shakai/jiko/070830/jko070830000.htm
産経新聞 8月30日付「閉所恐怖症で離陸トラブル 全日空が乗客を批判」
http://www.nnn.co.jp/news/070830/20070830006.html
日本海新聞 8月30日付「『乗ってみたけどダメだった』」閉所恐怖症で離陸止める」

今回、この運航事例について、航空会社の姿勢を問題として取り上げたい。

この乗客は閉所恐怖症であることを説明したという。これに対し、航空会社はこのような姿勢をとった。
産経新聞によれば、
>全日空東京空港支店鳥取空港所は「あぜんとするような理由。他のお客さまの迷惑を
>考えれば、搭乗すべきではなかった」と女性を批判するコメントを発表した。
という。

また、日本海新聞の報道では、8月16日に発生した、別の乗客の体調不良による引き返し事例も挙げ
>「原因が閉所恐怖症であるにせよ、点滴を受けるほどの体調であるにせよ、ほかの
>お客さまのご迷惑を考えれば搭乗すべきではなかった」
と報じている。

私はこの報道に接して、航空会社の体質に問題があるように思わざるをえなかった。

確かに、体調不良を起こした乗客が、イレギュラー運航を引き起こしたのは事実である。航空会社にとっては望ましくないことである。体調不良の背景には、乗客自身に問題があった側面があったかもしれない(たとえば主治医と相談してないとか)。

だから乗客批判につながったのだろうが、それは許されない。体調不良は、その背景はともかく、いつどのお客さまにでも起こりうる可能性がある。これを組織として公然と批判しすることは、航空会社の存立基盤であるお客さま全体を批判することにも直結しかねない。
空港所長の態度にも疑問を感じる。空港所長は空港の業務を率先垂範すべき立場にある、会社のキーパーソンである。このような立場の者が批判を許容するとは、あえていえば、特定の利用者は切り捨てててもいいという、「驕り」の思想が組織内に見え隠れするように、私は感じる。

今回、お客さまを批判するという行動をとった航空会社は、経営再建中の同業他社とは異なり、すぐれて好調な経営成果を示している。
しかし、お客さまを批判するという姿勢からは、会社の真の存立基盤をかえりみようとしない、危うさがある。公共交通を担う事業者としての責務への思慮不足も否めない。
猛省を促したいとともに、あるべき航空サービス像についていま一度見つめなおしてほしい。

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